-国税の申告・納付期限の延長手続きについて-
新型コロナウイルスの影響により国税の期限内の申告納付が困難な場合の個別延長の手続きに関して、「本来の申告期限前の申請は必要でしょうか?」などのお問い合わせをいただいています。
期限前の申請の要否、納付のみの期限延長の可否などをQ&Aとしてまとめましたので、ご案内します。
■1.国税庁が公表している「申告書への付記事項の記載による延長申請」の概要
この申請は、「災害その他やむを得ない理由による申告期限等の延長」(国税通則法第11条、同施行令第3条)に基づくものです。
新型コロナウイルス感染症の影響で申告書や決算書類の作成・提出、納付等の行為が困難な場合について、国税庁は期限延長の申請手続きを以下のように簡素化して対応しています。
(1) 申請の方法
「災害による申告、納付等の期限延長申請書」の作成・提出に代えて、申告書等に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と付記し、提出することとしています。
(2) 申請の時期
国税庁HPでは、申告・納付が困難なやむを得ない理由が解消し、申告書等の作成・提出が可能となった時点で申告を行ってください、と案内されています。
この場合、延長される申告期限および納付期限は、原則として申告書の提出日となりますので、提出日までに納税すれば延滞税はかかりません。
■2.事前(法定申告期限内)に期限延長を申請することの要否について
Q:2月決算・4月申告納付期限の企業です。自治体からの外出自粛要請に対応するため、緊急事態宣言の発令後、全社で休業しています。このような状況から、申告期限内に申告書を作成・提出できないのが明らかな状況ですが、期限延長の申請は申告期限より前に行う必要があるでしょうか?
A:災害等やむを得ない理由による期限の延長制度に基づく申請は、やむを得ない理由がやんだ後相当の期間内に行うこととされおり(国税通則法施行令第3条第4項)、申告期限内の申請を必須とするものではありません。
また、上記1.の簡素な方法による申告期限延長の申請手続きは、申告書の作成・提出が可能になった時点で、申告書の提出とあわせて申請できる取扱いですので、申告期限前の申請は必要ではありません。
■3.申告書の期限内提出後に、納付手続きを行うのが困難な理由が生じた場合について
Q:2月決算・4月申告納付期限の企業です。法人税申告書・消費税申告書の作成・提出は4月15日に行いました。その後、自治体からの外出自粛要請に対応するため、5月6日まで全社で休業することにしたため、期限内の納税手続きを行うのが困難になりました。この場合、納付期限の延長は可能でしょうか?
A:申告書を本来の申告期限内に提出後、納付手続きを行うまでの間に「やむを得ない理由」が生じて納付が困難となった場合は、「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出し、納付期限の延長を申請できます。
■4.中間申告の期限延長の可否について
Q:2月が中間決算期の企業です。法人税・消費税の中間申告書の提出期限(4月)も、延長できるのでしょうか?
A:延長可能です。中間申告期限(4月末)以降に延長申請する場合は、確定申告における延長手続きと同様、中間申告書を提出する際、中間申告書に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と付記して提出します。
仮決算による中間申告を行う場合も、申告書に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と付記して提出することで、延長申請できます。
■5.納付の猶予制度との関係
Q:申告書の作成・提出は期限内に行えるのですが、資金繰りの悪化により納付が困難な状況です。このような場合も、申告書に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長」と付記して申告することで、納付の期限を延長できますか?
A:申告・納付期限の延長制度は、災害などのやむを得ない理由で申告書や決算書類の作成が間に合わないなど、申告・納付手続が物理的に行えない場合の救済措置です。これに対し、事業に著しい損失が発生したことや、資金繰りの悪化などにより、国税の一時の納付が困難となった場合は、納付の猶予制度を受けられる場合があります。
納付の猶予制度の適用について、所轄税務署や、各国税局に設置の「国税局猶予相談センター」にご相談の上、対応されることをお勧めします。
【ご参考】国税庁ホームページ
「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」(PDF)
( https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/pdf/faq.pdf )
「新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方へ」
( https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan.htm )
「国税局猶予相談センターのご案内」
( https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan/callcenter/index.htm )
————————-
以上